TR-C-0090 :1993.9.2

坂口竜己,大谷淳,岸野文郎

表情表現を考慮した顔特徴点抽出に関する検討

- 表情変化による顔皮膚表面の時間的変位の計測箇所と表情再現品質の関係の基礎検討 -

Abstract:本報告は、1993年7月から同8月までの2ヶ月間、(株)ATR通信システム研究所知能処理研究室において、表情表現を考慮した顔特徴点抽出に関する検討結果をまとめたものである。 以前より当研究室が実験を行なってきた臨場感通信において、人間の顔表情の分析合成技術は、欠くことの出来ない重要な要素である。 現在送信側では、顔に数箇所の測定点を決定し、マーカーを貼付、そのマーカーを時間毎に位置計測し移動量を送り出す。また受信側においては受信された移動量によって3次元顔モデルを変形し動画像を作成している。 ここで設定されている測定点数(マーカー数)は、通信の容量・端末能力の制限より決定したものであり、人間の多彩な顔表情をすべて忠実に再現できるものではない。 そこで本研究では、顔表情を忠実に再現するために必要な測定点数、および3次元モデル変形のためのアルゴリズムを検討した。 また、人間の顔表情表出時の、皮膚表面各部位の運動の3次元的・時系列的な検討も行なった。 本文では、以上のテーマについて、4章に分けて検討・実験結果を報告する。 まず、第2章では、現在用いられている顔表情の分析合成手法を再考し、問題点等を導く。 次に第3・4章では、人間の顔表情表出時の皮膚表面各部位の運動を計測するための手法について述べる。また、計測結果から表情を再合成する手法についても述べ、その実験結果を示す。 次に第5章では、測定に用いたマーカー数と再合成された画像の品質について検討し、適切な測定点数および位置を考察、その実験結果を示す。 最後に第6章では全体のまとめと今後の課題について述べる。