TR-C-0057 :1990.9.26

佐藤隆宣,伴野明,岸野文郎

臨場感通信のための 高速画像生成表示法の研究計画

Abstract:遠隔地にいる人々があたかも同一空間に居て作業できるようにするためヒューマンインターフェース部に仮想空間を想定した臨場感会議システムを提案している。その表示技術として、広視野、高精細、立体表示、運動視表示の実現が望まれる。仮想空間を作成するには、CGを用いる手法と、カメラ画像を用いる 手法が考えられる。カメラ画像の場合、広視野、高精細化は、容易に実現できるが、運動視表示や仮想空間操作による表示物体の移動は非常に困難である。一方、CGの場合、現実の物体を写真で撮ったように描けたり、その表裏を自由に表示したりできるまでに技術が進歩している。また、表示物体の移動は、一度表示モデルを定義しておけば座標変換のみで容易に実現できる。広視野、高精細表示は、表示物体のきめ細かいサンプルリングによって、また、物体の質感の再現は、光線追跡法、ラジオシティ法、シェーディング法等によって各々達成できると考えられる。以上、仮想空間生成にとってCGは都合が良い点が多い。しかし、問題となるのは、CGで広視野、高精細化を図る場合に写実性を高めればそれだけ処理時間が増大し、運動視表示、仮想空間操作時に遅れを生じ、使用者にとって使いにくいものとなる点である。従って、広視野、高精細表示の写実性を保ちつつ、リアルタイムな画像生成表示手法の研究開発が望まれている。本稿では、仮想空間生成に必要な高速画像生成表示法の研究計画について述べる。計画は、(1)表示遅れの許容時間の把握、(2)高速CGのアルゴリズムの研究からなる。