1.相手の空間と自分の空間の連続性が感じられること。
2.自分が移動したり視線を移したりしたときに相手の空間の見え方に違和感のないこと。
これを実現するための方法としては次の2つが考えられる。
1.対地の画像と自分がいる部屋と連続的に見えるような周囲画像を作成し、その中に対地の人物を合成表示する。この際、自分の移動や視線の移動に伴い画像を変化させ違和感をなくす。
2.仮想的な面談室の画像を作成し、その中に対地の人物と自分を送り込み仮想的な空間を共有する。
両者の手法において重要な要素技術となるのは、人物画像の分析合成技術である。 即ち、人物の動作表情を送り側で分析する技術と、受け手側でその分析結果をもとに周囲画像 (手法1の場合連続的に見える様に作成した周囲画像、手法2の場合仮想的な面談室の画 像)と共に画像を合成する技術が重要な要素である。 本研究では、人間の動作を分析する技術を検討する。人間の動作を分析するためには、人物画像を人間の動作の記述が可能なように特徴抽出された画像(例えば人体の構造線の線分記述)に変換し、その記述と人間のモデルとを照合し、人物の動作の分析結果を探索により求めるアプローチが有効である。図1にこの過程を示す。人間の構造線を捉える際に、画像から得られる情報として利用できるのは、人物の輪郭線、輝度情報、画像の動きベクトル、色情報などである。本研究では、人物画像の動きベクトルの情報を用いて、人物画像の構造線抽出を行う手法の研究をおこなう。動きベクトルの情報を用いる事は、複数フレームの情報を利用することであり単一フレームで行うより多くの情報を用いる事ができる点が有利であり、オクルージョン(隠れ)の問題を解決する1手法となる。また、人物の抜き出し処理や、輪郭抽出等を介さないで直接動作を解析できる可能性がある。また、従来あまり利用されなかった、テクスチャーや模様の情報を有効活用できる可能性がある。