TR-C-0025 :1989.2.28

大村和典,伴野明,小林幸雄

顔の向き検出法に関する研究

Abstract:顔の向きは人間の意図を反映していると考えられる.したがって,顔の向きを検出し,人間・機械間のインタフェースに応用できれば,より円滑な対話が実現できるものと考えられる.本論文では顔の向きをヒューマンインタフェースに応用するという目的で,顔上の3個の特徴点の間の距離を既知情報として与えることにより,3点を単眼で捉えたときの2次元画像平面への投影像から顔の位置と向きを検出する手法を提案した.精度評価実験の結果,検出精度は2度以下であり,メニュー選択などには利用可能であることが明らかになった.顔の向きをヒューマンインタフェースに応用した場合の有効性を評価するために,リアルタイムでの検出システムを構築した.ここでは,特徴点として顔上にマークを貼り,画像上のマークのまわりに一定の大きさのウィンドウを設け,ウィンドウ内のみを走査するという手法により画像処理の高速化を計った.顔の向きによる指示操作実験の結果,顔の向きによる指示時間が,Fittsの法則により予測可能であることが明らかになった.また,目標までの距離と大きさにもよるが,指示速度はマウスより速く,指示操作手法としての利用可能性が示された.