TR-C-0017 :1988.9.30

芝本尚樹,西園敏弘

通信ソフトウェアの仕様記述法について

Abstract:本報告書では,通信ソフトウェア要求仕様の記述法に関する研究結果を取りまとめる.先ず,要求仕様の記述法とその処理系を提案する.本記述法は,有限状態機械モデルを基本として記述項目を抽出し,知識処理で用いられるフレームモデルをその整理のために適用することにより,通信ソフトウェアの特徴を反映した形式的仕様記述を可能とする.この記述法を構築するために,CCITT勧告X.25を要求仕様の例として,その特徴の抽出と記述項目間の構造関係を明確化している.更に,知識処理言語ARTを用いて,上述の記述法の処理系の構成を示す.また,本報告書では,多重処理における複数プロセス間の相互作用仕様の抽象化手法を提案する.具体的には,CCITT勧告X.25における論理チャネル選択機能の2種の実現方式をCSP(Communicating Sequential Processes)で記述し,プロセス間での状態の制約に着目して新たなメッセージパッシング機構を用いることにより,両仕様を抽象化する.尚,以上の研究は,通信ソフトウェア開発の知的支援を目的とするKANT(Knowledge-based Automatic software generator for Neo-Telecommunications)システム構築のための基礎技術確立の一環として行ったものである.