西村康, 高橋友一, 小林幸雄
出版業におけるレイアウトに関する専門知識の調査
Abstract:近年、企業内印刷やデスクトップパブリッシングシステムの発展、普及が顕著
となっている。その結果、印刷物紙面のレイアウトに関する知識を有しない作業
者が紙面レイアウトを自由に行える装置を手にし、紙面レイアウトの決定、作成
を行なうようになってきている。印刷物紙面の視覚印象を制御できない作業者に
より作成された紙面レイアウトは読みづらい。美しく読みやすい紙面の作成を一つの目的として導入した企業内印刷システムなどが、上記の原因により十分な効
果を生み出せなくなる。
編集出版業では、紙面レイアウトを顧客のニーズにあわせて作成するレイアウ
ターという専門家が存在する。これら専門家の知識を整理し、エキスパートシス
テムなどの形態で企業内印刷システムなどに組み込むことができれば、このよう
なシステムでの紙面レイアウトの品質を向上させることができる。
従来、編集レイアウトは、感性的あるいは芸術的な分野であると考えられてき
たために、科学的な分析の対象となることは少なかった。
本報告では、上記の状況に鑑み、出版業に置けるレイアウトに関する専門知識
の調査を行い、可能なものは定量的分析を行なうことより、この感性的な作業を
できるだけ整理し、ルール化を行なおうとしたものである。
実際の調査は、株式会社三菱総合研究所に委託して行なった。