TR-C-0012 :1988.8.22

石橋聡,秋山健二,小林幸雄

臨場感通信会議システムに関する一考察

Abstract:モールス符号のやりとりに始まった電気通信において,その利用する媒体は符号→文字→音声→画像へと変遷してきた.これは離れた場所同士でお互いの状況を,あるがままに,より自然に伝え合おうとするための変遷ととらえることができる.換言すれば,電気通信の一つの流れは,臨場感の追求にあると言える.現在,画像通信技術の進歩によって,お互いの顔や室内風景を見ながら交信できるようになった.しかしながら,お互いが実際に面談しているような感覚が得られるには至っておらず,より臨場感のある画像通信即ち臨場感通信の実現が望まれている. 臨場感通信とは,「あたかも自分がその場にいるような,すなわち,そこに存在するがごとく,聞き,見,さらには触れることのできる環境を利用者に提供する臨場性のある通信」のことであり,通信会議や模擬体験などへの適用が考えられる. 本稿では,臨場感を第一とし,さらには従来のTV会議方式の欠点を克服すべく多対地間通信,設備の小型化をねらって,以下のコンセプトに基づいて臨場感通信会議システムの構成法,技術課題について述べる.

・実際に臨場しているような効果が得られる.

・複数の場所の相手と同時に通信できる.

・ターミナル(ワークステーション)を使う感覚で通信できる.