TR-ACR-0001 :2001.10.31

若林一磨,種田和正

VoIPアプリケーションソフトウェアの適応機能が主観品質に及ぼす影響

Abstract:VoIPアプリケーションソフトウェアは,通信品質変動に適応する機能を複数備える.アプリケーションユーザは,これらを適切に併用することで,音声品質の劣化を抑制する.筆者らは,これら機能の有効性を定量化し,その利用指針を明確にする.このため多様な通信品質のネットワークを設定し,音声品質の主観評価試験を行った.その結果,送信側で冗長な音声情報を付加するForward Error Correction(FEC)を用いた場合,すべてのネットワークにおいて音声品質の劣化が防げた.一方,失われた音声情報を,直後の音声情報で代替するPacket Repetition(PR)は,それが効果的に機能するネットワークは限られた。特に,通信品質が不安定なネットワークにおいてFECとPRを併用すると,主観品質を低下させるおそれがあることを確認した.本報告書では,これら適応機能と音声品質の関係を述べる.