TR-AC-0058 :2001.7.6

恩田和幸

通信ネットワークのリソース配分の最適化

Abstract:インターネットの急速な普及に伴い,ユーザ(企業,個人等)が,パケット通信ネットワー クを構築するケースが増えているこのような状況において,限られた予算(資源)の中でネ ットワーク性能を最大化する設備容量設計及びネットワーク性能を最大限生かすトラヒック負 荷配分等に対するユーザの要求が高まっている. 一方,通信ネットワークの設計法(設備容量設計,トポロジー設計及びトラヒックエンジニ アリング等々)は古くから研究され,既に様々な方法や提案が存在する.しかし,それらの方 法がユーザに採り入れられている例は少ない.現実のユーザネットワークの多くは,待ち行列 理論に基づく伝統的な手法[1][2]とユーザの経験則によって設計され,シミュレーション評価・ 実運用を通して設計上のボトルネックを洗い出すといった試行錯誤的な方法が用いられる場合 が多い.この方法では,ネットワーク性能は必ずしも最大化されない. このような背景の下,我々は,パケット通信ネットワークを対象としてネットワークリソー ス及びトラヒックの最適配分方法を提案する.我々の方法は,通信ネットワークの最適資源配 分問題を定義し,これを解くことによって最適なリソース配分及びトラヒック経路配分を算出 するものである.本問題の最適解は,与えられるリソース制約条件及びトラヒック生起条件の 下でネットワーク性能を最大化する.提案法の特徴は,最適解の探索に高次元アルゴリズム (HA)[4]を適用することである.HAを用いることによって,多変数のネットワークに対して も総合的に最適解を導くことができる.