TR-AC-0027 :1999.3.11 ( Internal Use )

原田良雄

ソフトウェア化学反応の一考察

Abstract:本稿は,平成8年7月から平成11年3月の 間(2年と9ヶ月間),研究として取り組んだ 「ソフトウェア化学反応」の研究をまとめたもの である.本稿で議論した主要な項目は以下に示すとおりである. (1)化学反応的かつ自律適応的なソフトウェア構築方法を狙いとした,反応(規則適用),自律,適応,協調,自己組織化などの機能をそなえた「ソフトウェア化学反応」(MIRAGE)の概念について述べた. (2)また,MIRAGEのアプローチを述べ, 形式的記述と反応に着目して記述と反応の手法を示した. (3)事例として電話サービスの例を用いて,形式的記述と情報や状態およびそれらの構造が結合したりきれたりする反応の手法により複数サービスの協調的な状態遷移構造(動作)の生成が可能であることを示した. (4)免疫応答に基づいたボトムアップ的なシステムモデルとして,MIRAGEの拡張・レベルアップを試み,要素の関係,稼動イメージ,反応ルールの概要,「自己」と「非自己」認識処理,役割分担と相互作用,および自己組織化について述べた.