張毅民
周波数選択性フェージング環境における
帯域分割・合成型アダプティブアレー
Abstract:移動通信環境では、多重波が存在し、伝送レートが高い場合や、遅延量の長い到来波が存在
する場合には、周波数選択性フェージングとなる。また、同時に、同一チャネル干渉(妨害信号)
が存在し、多重波として到来することも考えられる。
このような場合において、時間・空間信号処理を行うことにより希望信号を等化し、また、
妨害信号を抑圧して受信信号を改善するが、従来の方法では、収束が遅く、また、遅延の長い
多重波を持つ妨害信号に対して、複数のアレー自由度を必要とする。
本報告では、このような環境において、帯域分割・合成型アダプティブアレーを用いること
を提案する。帯域分割することにより、希望信号や妨害信号に関係なく、遅延量の長い多重波
間でも高い相関を得ることができる。このため、希望信号に対してはさらに等化を行う必要が
なくなり、また、長い遅延時間をもった妨害信号の多重波に対してもそれぞれ一つのアレー自
由度で除去することができる。