山田順一,北川美宏,井脇洋
コージェネレーションシステムの
最適設計の検討
Abstract:現在の都市エネルギーシステムが抱える資源問題、環境問題、ピーク電力
問題などに対して、エネルギー有効利用技術の一つであるコージェネレーショ
ンシステムの導入は有効な対策の一つである。一般的なコージェネレーショ
ンシステムとは、ガスから発電機を介して電力と熱を得るものである。この
コージェネレーションシステム導入において、より経済的なシステムを設計
することはシステム導入者側にとって大きな関心事となる。本実習では、電
力・ガス料金(ランニングコスト)の低減からシステムの最適化計算を行ない、
経済性が高いシステムの設計を目標とした。
本実習で扱うコージェネレーションシステムは、ガスでガスエンジンを駆
動して電力を得ると共に、発生した排熱を冷暖房需要に供給するものである。
最適化は、ガスエンジンで発生したエネルギーを無駄なく使ってしまう場合
と余った場合は捨てることが可能である場合について行なった。計算対象の
負荷データは標準的な事務所の月・時刻単位の電力・冷暖房需要データとし、
手法として、ATR環境適応通信研究所で開発された高次元アルゴリズムを
用いて計算を行なった。
計算の結果、余剰エネルギーを廃棄可能にして最適化を行なった方が、よ
り経済的なシステムの設計ができるという結果を得た。つまり、ガスエンジ
ンから発生する排熱が無駄になる場合でも、電気より安価なガスで電力需要
を補う方が経費を低くおさえることができることが言えた。また、エネルギー
廃棄可能の条件下で、設備の使用期間を考慮した設計がシステムの経済的な
最適設計になることを確認した。