小山隆正,乾敏郎
多重解像度による点パターンの構造化モデル
Abstract:我々は、近接する3点のなす角度が約140゜前後より大きい場合、知覚される仮想
線は曲線に、それ以外では直線になる傾向を有する。本稿ではこのような複数の点
から構成されたパターンの補間機能を、視覚領の方位選択性に基づく神経回路モデ
ルによって自動的に実現できることを示した。仮想線のアルゴリズムは以下の過程
によって実現されていると仮定した。①各位置において各空間周波数チャネル別に
最大出力の方位選択性ニューロンの出力のみが選択される(局所的方位の決定)。
②次に各々の選択された出力が加算され、ポテンシャル面が形成される(ポピュレ
ーション・コーディング)。③ポテンシャルの尾根線が仮想線として知覚される。
以上の仮定に従い3点と4点の場合のシミュレーションの結果を示した。結論とし
て、補間現象に働くフィルタの最適周波数は0.7cycle/deg.の低域通過フィルタで、
方位選択幅が±20゜の特性をもつことが明らかにされた。