緒形昌美
MASSCOMP用ベクトル演算装置を用いた
高速フーリエ変換(FFT)プログラム
Abstract:FFT(Fast Fourie Transform)は、フーリエ変換をディジタル計算機上で高
速に計算するために開発されたアルゴリズムであり、パターンの周波数分析や、
フィルタリング処理には必要不可欠なツールになっている。視覚研究において
も心理実験における呈示パターンの作成や、モデルのシミュレーションなど、
FFTの利用範囲は広い。しかしこのような視覚研究で扱うデータは、通常、2次
元画像や3次元(時空間)画像であり、その膨大なデータ量のためにFFTといえ
ども多くの計算時間を必要とする。そこで我々は、現在運動視や立体視の研究
に使用しているUNIXマシンMASSCOMP5600の上で、FFTをより高速に計算するため
に、同計算機に搭載されたベクトル演算装置”ベクトル・アクセレータ”を用
いたFFT関数をC言語によって開発した。本報告書では、ベクトル・アクセレー
タの簡単な使用法と、これを用いて作成したFFTプログラムについて説明する。
ただし、フーリエ変換やFFTに関する解説は他の教科書に任せるとし、ここで
はプログラムの使用法のみを説明する。
なお、混乱を避けるために、本報告書では”ベクトル”と”配列”という2
つの言葉を次のように区別して用いる。
ベクトル・・・計算対象となるデータ
配列・・・ベクトルを収めるメモリ上の領域