大山玄
発声・発話障害の
定量評価に関する研究
Abstract:音声・言語障害の定量評価についての検討を行う。これらの障害の評価は、こ
れまでは聴覚的印象に基づく定性評価を用いてきた。今までの研究から、よく訓
練された者の聴覚印象は、麻痺性構音障害の診断に十分役に立つ事が知られてい
る。しかし、主観的定性的評価では評価者による差があり、また長期観察中の障
害の変動を安定にとらえるには問題がある。これに対し、音響分析手法等の定量
評価を用いればより安定な評価が可能であると考えられる。また、聴覚的印象と
音響パラメータ等とを比較することは、障害を詳細に解明するためにも必要であ
ると考えられる。
今回我々は、発話、発声障害の定量評価法について検討を行った。
発話障害(構音障害)は主に舌、顎、唇等の動きに障害のあるもので、大きく
次の3つにわかれる。
1.麻痺性構音障害
2.器質性構音障害
3.機能性構音障害
麻痺性構音障害は調音器官には障害はなく、神経、筋系、脳に障害がある場合で
あり、器質性構音障害は調音器官そのものに障害のある場合で、機能性構音障害
は調音器官の使い方に問題のある場合である。ここでは、2章において1.の麻痺
性構音障害の定量評価について述べる。
3章において構音障害が現れる別の例として重症筋無力症の定量評価について
述べる。
次に喉頭に障害がある発声障害の定量評価について述べる。
4章に於て、調波構造を用いた嗄声の分析について述べる。
5章に於て、ケプストラムを用いた嗄声の分折について述べる
6章に於ては外転性発声障害の分析について述べる。