TR-A-0078 :1990.3.30

城 和貴

ノイマンを超えて

-視聴覚認知機構研究における並列計算構成理論について-

=視聴覚認知機構研究に必要とされるであろう計算機について=

Abstract:人間の視聴覚認知機構の基礎研究は本研究所をはじめとして、工学、心理、生理の様々な分野の研究者の間で研究が行われている。このような研究で構築されたモデルは、脳の並列分散メカニズムを考えると、並列計算機にインプリメントしてこそ、以後の応用分野への発展が期待できる。一方、並列計算機は近年、ノイマン型計算機からの脱出が期待されている疎結合型並列計算機が開発され、既存の逐次処理アルゴリズムの見直しが注目されている。本研究所は視聴覚認知機構の研究において、研究員、研究設備、研究実績とも日本の最先端であることを誇っているが、研究により得られたモデルを並列計算機上に実現する手法については、米国MIT, CMU, Caltec, JPL等の研究所に及ばない。それは、視聴覚認知機構の研究によって得られたモデルを、効率よく並列計算機上に実現するための並列計算構成理論についての研究がおこなわれていないからである。そこで、本稿は、現在のノイマン型計算機の問題点及び、並列計算機についての現状について概説し、視聴覚認知機構の研究における並列計算構成理論の必要性について説明し、それらを満足させるための計算機アーキテクチャの提案を行う。