TR-A-0072 :1990.2.20

藤井秀夫,乾敏郎

CGを用いた心理実験に基づく 空間認知モデル

Abstract:空間認知は、地理学、建築学、心理学、認知科学などの様々な分野で研究が行われている。これらの研究は、空間表象に関するもの、空間認知過程に関するもの、そして空間の知識と行動に関するものの3つに大別されるが、いずれの研究も物理的制約、要因の統制の難しさ等から現象の記述に留まり定量的評価は難 しかった。 我々は、空間認知特性の定量的な分析から空間認知モデルを構築するため、CG(コンピュータ・グラフィックス)を用いた実験システムを構築した。このシステムを用いて空間把握過程の分析を行い、ローカルな情報を統合すると共にグローバルな表現を修正し、階層的な空間表象を形成していく概念的モデルを構築した。また、この概念的モデルを精緻化するため、局所情報の把握特性の定量的分析を試みている。我々は既に、距離の評定特性を定式化したが、本論文は、方向評定特性の定式化を目的に行った心理実験と生理学的見知に基づいて構築した方向評定モデルについて述べたものである。