TR-A-0069 :1990.2.1

曽根原登,川人光男,入江文平,佐藤雅昭,中根一成

神経回路モデルによる画像の情報処理について

Abstract:画像処理に対する神経回路モデルの魅力は、(1)同一の演算形式を持つ多数のニューロン による同時並列処理能力、(2)ニューロン間の結合荷重が可塑的に変化する学習能力、(3)複 雑な非線形拘束条件の下で評価関数を最小化する最適化能力、等にある。 長大データを扱う画像処理では、神経回路モデルの局所並列処理性を利用することによ り、大規模な最適化問題を高速に解くことができる。また、学習能力を用いることにより、 様々な画像処理アプリケーションが、同じ形式の並列処理回路を用いて結合荷重を適応的 に変化させることで実現できるため、汎用的なプログラムレスのパターン情報処理装置の 開発を可能とする。さらに、観測量が非線形に変化する問題に対しては特徴ベクトルの抽 出や、非線形な拘束条件下での最適化等を、線形システムを包含しつつ特性の改善が期待 できる。 本文では、神経回路モデルを用いた画像の標本化、量子化、圧縮、復元等の画像処理の 基本的問題への適用方法といくつかの実験結果について述べる。第2章では、マ ルコフランダム場に基づく画像復元について述べ、第3章でこれをエネルギー最小化により 実現する緩和型神経回路モデルについて述べる。緩和型神経回路モデルの応用として、雑 音に埋もれた画像の復元、粗い標本化からの復元、画像の量子化等について述べる。第4章 では、多重解像度緩和法と粗い標本化からの面の復元について述べる。第5章では、画像の 次元圧縮への神経回路モデル適用方法について述べ、多層パーセプトロンによる画像の データ圧縮等について述べる。