TR-A-0057 :1989.7.25

平原達也,天白成一

聴覚実験用信号入出力システム -MASSCOMP周辺機器の構成と制御ルーチン-

Abstract:聴覚研究室では、種々の音刺激を用いた聴覚心理物理実験を行なったり、受聴試験の刺激系列を作成するシステムとして、かねてより、マスコンプ社(現在はコンカレント社)のワークステイションMC5600を中心としたシステムを構築し、実用に供してきた。平成元年4月の本研究所への移転を機に、従来のシステムの不備な点を変更し、性能および操作性のより優れたシステムを構築した。 主な変更点は、以下の4点である。 ①DA変換器をMASSCOMP社製のDA04HからPAVEC社製のMD8300シリーズに変更した。 ②AD/DAコンバータとMASSCOMPとの接続を光ケーブルを用いたものにした。 ③MASSCOMP自身を計算機室内に設置した。 ④AD/DAコンバータと各種オーディオ機器との接続を統一した。 ①と②は,計算機とAD/DAコンバータを光でアイソレートすることにより、機器間に生じていた直流オフセットを減じるとともにAD/DA変換時のS/N比の向上を図ったものである。この光リンクを採用することにより、③が可能となった。その結果、計算機に対する設置環境(温度や埃)が向上したとともに、グラフィックターミナルに向かうユーザーの作業環境(騒音)も向上した。また、④は、4台あるMASSCOMPのどれを用いても、機器間の接続ケーブルを変更することなしに、同一操作でAD/DAとDATの録音再生がおこなえるようになり、様々なレベルのユーザを抱える本研究室における利便の向上が図られた。 本稿では、現時点における聴覚研究室の実験システムのハードウエア構成とソフトウエア構成について述べる。第2章では、まず、聴覚研究室のMC5600のシステム構成について述べる。次に、今回導入した、PAVEC社のMD8300シリーズ光リンクAD/DAコンバータシステムのシステム構成について述べる。そして、DA変換器出力及びAD変換器入力に接続する各種オーディオ機器について述べる。第3章では、MC5600上に作成した、AD/DA変換器制御ルーチン、パラレルI/Oを用いた被験者応答入力ルーチン、GPIBを用いたアッテネータ制御ルーチンについて述べる。